萌えるSE 業界ノベルズ お兄ちゃんはプログラマ・藤山哲人◇技術評論社

<萌えるSE 業界ノベルズ> お兄ちゃんはプログラマ

<萌えるSE 業界ノベルズ> お兄ちゃんはプログラマ

新人プログラマが、業界にとまどいながらもなじんていく、HOWTOッぽい小説。

新卒でいわゆる中小企業であるバイナリーに入社した大町学は、かなり癖のある社員達と繰り広げる日常を、発注から納品まで流れを紹介しつつ軽い感じでつづった物語になっている。

自分は、SEな業界はよく分からないが、その会社ごとに妙なルールがあったり、癖の強い人々がいるというのは、ちょっと納得してみたり。
しかし、隣の席でもメッセンジャーでやりとりとかは、少し大げさな気がしないでもないけど、一応文面で残るので、理にかなっているような気がしたり。
机の様子も、そうそう、玩具とか本で埋まるよねと、他業種なのに感心したり(しかし、本当にSEってアニメオタク率高いのか?)。

押しの弱い営業さんや、クライアントの謎のダメだしなどは、SE業界でなくても経験することが多いので、共感するところが多々あった。
納品間際のやりとりなどは、自分も笑い事じゃないので、結構どきどきしながら読んでたり(笑)。余裕は、欲しい物ですな。

と、SE業界の一部(多分、これに書かれているのは仕事部分はともかく、趣味や日常部分はマイノリティだと思う…)が分かったり、仕事の流れなどが分かりやすいものの、売りである「萌え」の部分は、あまりいらなかったような気がする(笑)

確かに、最近は「萌え実用書」ブームというのがあって、その方が話題になりやすい、という部分は分かるんだけれども、そこがSE部分とあまり上手くリンクしていなく、ヒロインのあずみちゃんが「萌え要員」以上になっていないのが、結構惜しい。

その部分がなくても、普通に面白く読めるので、いっそ無いか、もう少しあずみちゃんをSEに絡めると良かったんじゃないかと思ったり。

文章も軽く、さくさく読めて、SEについても(仕事の辛さ含む)よく分かるので、業界に興味のある人、就職したいと思っている人は、読んでみるといいのではないだろうか。

ただ、カバーデザインがちょっと気になったり。もし、続編が出るのならば、もう少し他社のライトノベルレーベルのデザインなどを研究した方がいいと思う。これは、ちょっと買いづらいというか、古いというか…