交渉人真下正義・監督■本広克行◇フジテレビジョン・東宝

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大人気シリーズ「踊る大捜査線」のスピンオフ映画の第一弾。

レインボーブリッジ封鎖事件解決後の真下警視の記者会見を見ていた犯人が、1年後、警視庁HPに挑戦状を送りつけてきた。「真下警視、一緒に地下鉄走らせようよ」と。標的にされたTTR総合司令室に向かった交渉人真下警視は、事件を解決することができるのか?

といったストーリーなのだが、イヤー面白かった!名前は違うけれども、TTRの路線は東京メトロそのままだし、制服も営団時代を彷彿とさせるデザインだったり、妙なリアル感があった。事件の発端となる東陽線(東京メトロで言うところの東西線)はよく使ってる路線だったので、妙な臨場感があったり(ちなみに、見た劇場も東西線沿線なんで帰りにもそれに乗ったり)。

地下鉄内のパニックシーンは、よくぞ日本映画でここまでとれたな、というぐらい臨場感がある。ぎりぎりのダイヤで暴走車両クモの進路を開けていくところや、早稲田駅周辺でぎりぎりまでクモが近づいていくシーンなどは、音楽も相まってかなりハラハラさせられた。あまり、取り上げられていないのだが特撮関係がかなり良くできていて、実写とミニチュアの合成が分からないくらいになじんでいた。ただ、映像の関係なのだろうが、東陽町の駅が島中ホームになってたのが残念。茅場町あたりがモデルっぽくなっちゃってる。

話の方は、やけにスケールのでかくなった「踊る」なのだが、今までの作品と違うのは、青島のようにぐいぐい引っ張っていく主人公ではないこと。ババーンとタイトルになっているものの、真下警視はどちらかというとサブ的な扱いになっていて、初登場のヤクザみたいな木島警視やTTRの職員などの活躍で話が進んで行くような感じだ。もちろん、交渉シーンなどもあり、そこでは真下が主役になるが、全体的には影が薄い感じ。でも、それが悪いわけではなく、良い感じに作用している。この映画の本当の主役は、危機的状況の中でベストを尽くす地下鉄職員なのだと思うから(だから、エンディングで流れる威風堂々が生きてくる)。

今回は、脚本が変わったこともあるのだろうが、外枠は紛れもなく踊るなのだが、ギャグの性質やテンポなどが今までと違っていて、新鮮だった。青島の存在がオチみたいに使われてたり(笑)、そんな方法で爆弾止めるの〜、とか。特に、警視庁から過去の資料が続々と送られてくるのだが、PDやZIP、はては八インチのFDだったりして、使えない!というシーンには大爆笑。その後、各ドライブも送られてくるのだが、あれどうしたんだろう。今のパソコンだとほとんどUSBだから、接続できないんじゃないかなぁ…

最後のオチに、少し不満が残る物の、個人出来には大満足。夏公開の「容疑者室井慎次」が楽しみだ。

余談だが、2月に秋葉原に行ったときにサトー無線メロンブックスの間の路地に、地下鉄の看板があり「ここに新しい出口が出来るのか?」と思ってよく見たらTTRと書いてあって、ロケ現場の準備中だったことがあった。黒い車が止まっていて、スタッフ車両だと思ってたら、劇中で重要な役割をする車だったので、ちょっと、びっくり。しまった、もう少しいれば寺島進みれたのに!しかし、普通のビルの入り口だったのに、映画で見るとちゃんと地下鉄の駅に見えたので、映像って凄いなと思ったり…

最後に、エンディングの後にもお楽しみがあるので、席を立っちゃダメですぞ!