ほしのこえ・原作■新海誠・漫画■佐原ミズ◇講談社

ほしのこえ (KCデラックス)

ほしのこえ (KCデラックス)

自主制作アニメとして話題を呼んだ、同名アニメのコミック化。

とはいうものの、元は30分のアニメを単行本1冊分にしてあるため、かなりの要素が追加されている。
アニメ版はノボルとミカコのほぼ二人に焦点を絞った話で、二人のモノローグで物語が進行していく。
しかし、漫画版は二人の周囲の人々を描くことによって、この作品の世界の補強を行っている。
これが蛇足にならず、キレイにまとまっている。

宇宙と地球、距離だけでなく、時間さえ遠く離れた二人の心の細かい動きが、アニメ版以上に説得力を持って響いてくる。
アニメ版の方は、話はシンプルながら、設定が多少盛り込みすぎで、後半駆け足だった所があるのだが、漫画版は追加された各々の友人達がその点を補完する役割を担っている。

ただ、ミカコサイドの話は、仲間が増えたからこそ、より一層の孤独感が漂ってきて、非常に切なくなってくる。

ラストに関しては、アニメ版よりも希望のある漫画版の方が個人的にはお気に入り。