失踪日記・吾妻ひでお◇イースト・プレス

失踪日記

失踪日記

ななこSOS」などで有名な作者が89年頃から失踪していた時期を描いた物と、97年頃からアル中となっていた時期を描いた物が掲載されている。

マンガを書くことがいやになって、ふとホームレスになったり、ガスの配管工になったりと凄い人生が、さらっと書かれていて一気に読めてしまう。これ、変に画力がある人(梅図かずおとか)の作品だったら、悲惨でとても読めない物になっていたかもしれない。ただ、吾妻氏独特の柔らかい作風と意図的なのだろうが、徹底的に第三者的な視点で描かれており、軽い読み物として成立している。ただ、書かれていることはかなりハードな体験なので、読後ずんとくる物がある。

アル中で入院した話の方も、良く生きてたなと思わされる体験が次々に描かれており、マンガ家のハードさというのが逆に伝わってくる。
時期を考えると、確かにあのころの氏のマンガ、線とか荒かったなーなどと思ったり…だが、今回の作品を読むと、かなり線などがしっかりしていて、アル中を克服したのだなーと思わされる。

しかし、あのお年でちゃんと女の子を可愛く(ルーズソックス!)描いていたりするのは、さすが萌え系の元祖だなあと、感心してしまう。

アル中日記の方は、途中までッぽいので、是非とも続編を希望してしまう。

食えなくなったら、ホームレスにでもなればいいやと思ってる人は読んだ方がいいかも。かなり、きついよ〜。

そうそう、カバー裏は必読なので、必ずめくること!