映画音楽ベスト・大島ミチル◇コロムビアミュージックエンタテインメント

大島ミチル・映画音楽ベスト

大島ミチル・映画音楽ベスト

映画、ドラマ、アニメなどで活躍中の音楽家大島ミチルの映画音楽の代表曲を集めたベスト版。

とはいえ、あり物の素材を集めたわけではなく、全て録り直しとミックスダウンをし直しているのだが、これがいい感じとなっている。

例えば、「ゴジラ×メカゴジラ」のテーマ曲などは、映画版の方は多少くぐもった感じだったのだが(映画の画面を考えると、その方が迫力がありあっていたのだが…)、かなりクリアな感じで、各パートが聞き取りやすくなっており、音楽単体での鑑賞に向くように変更されている。
なので、元になった作品のサントラを持っていれば聞き比べるという楽しみかたも出来るので、是非試してもらいたい。

そして、うれしいことにサントラ盤などが出ていない映画の曲なども収録されており、各作品1曲ずつとはいえありがたい。

大島ミチルという音楽家を意識するようになったのは、TVアニメの「ミラクルガールズ(1993)」やOVAの「魔法使いTai!(1996)」などからだ。当時はメロディアスで上品な曲を作る人だなあという感じだったのだが、近年は「ショムニ」や「鋼の錬金術師」、「ゴジラ×シリーズ」など、メロディアスな部分は変わっていないが、力強いというかいい意味で下品な曲なども手がけており、振り幅の広い曲を各作品に提供している。

このCDでは、「プライド(東条英機の映画!)」「ゴジラ×メカゴジラ」などの力強い曲から、「長崎ぶらぶら節」「失楽園」などのメロディアスな物、「お墓がない!」などの、コメディチックな物まで入っており、大島ミチル入門用には最適の1枚になっている。

個人的には、映画自体にはあまり思い入れがなかったのだが、「模倣犯」のテーマ曲は素晴らしい物になっている。同じメロディーが淡々と繰り返されていくのだが、徐々に音が増えていき、どんどん不安を誘うような曲に変化していくのだ。これはかなり怖い!上品さと下品さがうまく融合している、大島女史ならではの曲なのではないだろうか。

このCDが気に入ったのなら、是非、他の作品のサントラを購入して、大島ワールドを堪能してみたはいかがだろうか。