戦闘妖精少女 たすけてメイヴちゃん・監督:もりたけし◇バンダイビジュアル

神林長平原作のハードSFアニメ「戦闘妖精雪風」から派生したメカ少女系のアニメーション。

地方に住んでいる少年、レイが東京で開催されるアニメイベントに参加したのだが、なぜか女の子の姿をした戦闘機が、ジャムと戦う世界に迷い込んでしまうというストーリー。
これだけだと、ただのバカアニメのようだが(アニメ版はデカ過ぎじゃないかとさんざん言われていた「雪風」のマーキングが、スーパーシルフちゃんのパンツに描かれていたときには(しかも神林長平直筆!)さすがにどうかと思ったが…)、なぜにこんな世界が生まれ、戦闘機が少女形態になったかの理由付けはかなり長平節になっており、思わず「ふむん」とうなってしまった。
各女の子達も、元のデザインと比べると、「ふむん」と思わせるデザインで楽しい。性格なども、無口なメイヴちゃん(むやみに攻撃する!)や、母性本能の強そうなスーパーシルフちゃん(雪風)なども、各AIにちなんで設定されており、原作を知っていると思わず笑ってしまう。

戦闘シーンなども、本家のアニメをかなり意識してあり、疾走感のあるドッグファイト(なのか?)が楽しめたりして、侮れない。
そして、この手のパロディ物にはお約束の小ネタも随所に仕込んであり、神林長平ファンなら探してみるのも、楽しいのではないだろうか。個人的には、「迷惑一番」なんて、マイナーな物を出してくるセンスが大好きだったりするが。
大ボスであるフォゲッタさん(!)のデザインも、エモーションレーベルのイコンとも言うべきデザインなので、自分の目で是非とも確認して欲しい。

ストーリー全体も、オタクな少年の成長物語のようになっているが、かなりな長平節が効かせてあり「そうだよな、こうくるよな長平節なら」とかなり楽しめた。この感じは、「敵は海賊 海賊版」に近いかもしれない。神林長平が好きで雪風が好きで、かわいい女の子が出てくるアニメに抵抗がないなら、是非とも観て欲しい一本だ。

WAVE製作の特典フィギュアのメイヴちゃんもかなり出来がよい物なので(原型はGK版と同じ荒川泰之氏)、本家のFRX-00メイヴ(バンダイのEXモデルとか)と一緒に飾ってみるのも楽しいかもしれない。

ただ、これはこれで楽しいのだが、早く本家の5巻が観たい! がんばれGONZO