オペラ座の怪人◇監督:ジョエル・シュマッカー

http://www.opera-movie.jp/index2.html

だれでも、タイトルとメインテーマくらいは聞いたことがあるだろう有名ミュージカルの映画化。ちなみに、原作はガストン・ルルーだが、結構別物になっている。

今回は、ミュージカル版の作曲者であるアンドリュー・ロイド=ウエーバーが製作と音楽をつとめており、まさに決定版というにふさわしい映画になっている。

ディズニーアニメ作品のミュージカル化というのは見たことがあるのだが、あれは、舞台という限られた空間内で、映画のような演出とカット割りをいかに再現するかという工夫に満ちていて、凄く楽しかった。
だが、今回は言ってみれば逆になるわけで、期待半分不安半分だった。

特に、数年前に観た劇団四季版の『オペラ座の怪人』がかなり、豪華でパワーに満ちていて、かなり圧倒された経験があるので。

実際、その点に関しては杞憂だった。冒頭の、シャンデリアが再び吊り上がり、過去のオペラ座へと話が移っていくシーンからして、舞台を越えたインパクトの映像だった。
とくに、同時進行で起こるシーンなどは、舞台版よりも状況がわかりやすく、物語を楽しむには映画版の方が向いていると思う(舞台版もセットを工夫するなどしているのだが、いかんせん一つの場所でやっているために、制限はある)。

音楽についても、正当派アップデートというか、かなり重厚に変更してある。オケピなどではやはり楽器数に制限があるのだろう。それが、無くなったのでもしかすると、映画版の方がウェーバーのやりたかったことなのかもしれない。

監督が、シュマッカーというので、少し不安だったところもあるのだが、彼のケレン味がいい方に作用して安心して観ていられた。

と、映画の出来自体には不満は無いのだが、内容の方はこんなんだったっけ?となっている。シナリオ自体は、舞台版とほとんど変わっていないのだが(対決シーンの迫力を増すために銃ではなく、剣劇にしたり等の映画のための些細な変更くらい)、印象ががらりと変わっている。

舞台版は、クリスティーヌが主役の怪人倒してめでたしみたいな風だったのだが、映画版はかわいそうな怪人が、かなり計画的にクリスティーヌに捨てられる話に見えてくる(映画版では、怪人の過去の生い立ちなどが追加されているのでより一層そう思うのかもしれないが…)。多分演出などで、そう見えるようにしてあるのだろうが、見終わった後、かなりクリスティーヌに腹を立ててしまった。
やっぱり、男は顔と金なのかと!
しかし、自分が男だからそう思うのかもしれない。女性はこの映画を観てどう思うのだろうか?

ただ、ミュージカル映画としての出来は素晴らしい物なので、一度は観て欲しい作品だ。その後でもいいので、舞台版を観て比べてみるのも面白いだろう。

この映画で一つ疑問があるのだが、なぜにSMEから出ているサントラは1枚なのだろうか? US版は2枚組なのに…。一体、何をカットしたのだろうか?ほとんど歌いまくりのミュージカル映画なのに…


THE PHANTOM OF THE OPE

THE PHANTOM OF THE OPE

なので、サントラを買うならUS版のこっちを!