新耳袋 第十夜・木原浩勝・中山市郎◇メディアファクトリー
- 作者: 木原浩勝,中山市朗
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2005/06/17
- メディア: 単行本
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様々な人から取材した怪談を集めたシリーズの最終巻。
流石、ロングシリーズというか他の怪談本に比べると、格段に読みやすい文体でまとめられている。
全てを、自分の実体験、あるいは口伝という感じに統一されているのだが、そこがまた良い。あまり、主観的なことを書かずに、こういう事があった、と淡々と怪現象が語られていく。
1話を最大5ページほどのまとめているのも、読みやすさの秘訣だろう。長く続く話も、エピソードごとに話数を区切っていて、読みやすさを念頭に書かれている。
よく実体験怪談集とかがあるのだが、だらだらと状況説明とかが長くて、肝心の部分が怖くない!なんて本がたくさんあるが、もう少し考えた方がいいと思う。
自分的に良い怪談本だと思うのは、この新耳袋と「超怖い話」シリーズ(関連含む)だと思う。
特に、この新耳袋シリーズは、怖いというよりも、少し不思議だなあという話がたくさん収録されていて、楽しい。何気ない日常で、自分も遭遇しそうな、少し不思議な話など、あり得そうで、少し怖くなる。
今巻は、今までと違い、章立てになっておらず、というか全て最終章と言うくくりになっている。その名前が「百物語」。原点回帰なのだろうか?
自分的な好きなエピソードは、件(くだん)の話が決着するものだ。自分も、このシリーズを読む前に、小松左京氏の「件の母」という短編を読んでおり、気になっていた話なので、実際の目撃談などを読んで、どきどきしていたのだが、最終巻で決着が付くなど、本当に何か因縁を感じてしまう。
ともあれ、長く楽しませてもらったシリーズ。これで最後というのも寂しい限り。出来れば新シリーズなんかを希望してみたり。
といっても、自分は怖いんで、2日にかけて読んでたり(笑)